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相談事例
~管理組合の会計~
Q1 管理組合の会計の目的とは?
会計とは、財産を委託された者(管理者・管理組合)が、利害関係者に対し責任を持って財務諸表等を用いて説明を行い、利害関係者が事情に精通した上で、判断や意思決定を行うことができるようにするものです。マンションの主要な利害関係人は、第一に区分所有者、続いて居住者(区分所有者を含む)、銀行等の債権者(将来の債権者を含む)です。まず、区分所有者の関心は、他の区分所有者もきちんと管理費等を納入しているか、管理費等はもっと少なくて済んだのではないか、ということです。
さらに忘れてならないこととして、将来の大規模修繕などの大きな支出への備えが計画的か、という配慮が必要です。続いて居住者の関心としては、もっとサービスを享受できたのではないかということ、債権者の関心としては、財務会計が健全であり、債務が履行されるか(貸出金がきちんと返済されるか)ということがあります。
マンション管理組合において大切なのは、管理組合運営が衡平で効率的であること、建物・設備等が適切に維持管理・更新されていること、であることに異論はないと思いますが、それら両方を担保するものは財産的基礎であり、管理組合の適切な財務会計であると考えます。
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Q2 管理組合の会計基準とはどういったものですか?
会計には、大きく分けて、営利企業を対象とした『企業会計』や、国や地方自治体などの『官庁会計』、公益法人等を対象とした『公益法人会計』があります。マンション管理組合は、一般的に非営利団体であるため、『公益法人会計』に寄った会計基準をとることが多くみられます。その一方で、管理組合の会計に関しては、これまで法令上の規制や準拠すべき基準が特に定められてはいないため、各マンションによって統一性が無いのも現状です。特に自主管理のマンションにおいては、労力の要る作業であることから、会計処理がおろそかにされているものもあります。
会計基準とはそもそも、同一の基準で企業なり社団なりを比較するためのツールと考えます。しかし、管理組合会計にあっては、会計を管理会社に委託している場合であってもその仕様は様々であり、会計基準に統一性が無い現状では他の管理組合との比較もままならず、これに対しては、公認会計士・税理士等の立場から、統一した「管理組合会計基準」の提言が行われています。
Q3 管理組合の会計に独特なものは何ですか?
管理組合の会計の特色として、管理組合には『将来の大規模修繕』という多額の支出が不可避なものとして予定されており、それに対する財務の健全性を初期の段階から配慮しなければなりません。将来の修繕積立金の不足対策だけを論ずるのであれば、管理費会計(一般会計)と修繕積立金会計を明確に管理していれば足りるのではないか、との意見もありますが、私見では、「修繕積立を健全に計画し、その支出を効果的に行うためには、日常の管理運営体制が重要である。適切な管理運営の基礎となるのは管理費会計であり、その意味で修繕積立金会計に対しても重要な役割を果たす。」と考えます。
Q4 現金主義、発生主義の違いとは?複式簿記はなぜ必要なのですか?
ごく簡単な説明のために、「ある区分所有者が今月25日に管理費10,000円を管理組合に納入しなければならない」時を想定します。この時、この区分所有者が滞納した場合、現金主義によれば現金の収入が無いため収入を計上しません。一方の発生主義によると、滞納されているにせよ収入の発生事実があるため、収入の計上を「管理費収入10,000円」とします。しかし、実際の入金は無いので、「未収入金10,000円」と複式簿記で記帳します。
つまり、現金主義によれば、収支計算が現金の入出金という分かりやすい計上基準に基づいているため、計算が簡便です。しかしながら、上記の様な計算すべき期間に「あるべき」収支についての把握が難しく、収支対応の原則に反することになります。
一方の発生主義では、収支の期間帰属は正しく行われます。しかし、収入・支出の概念が抽象的であるため、実際の手元の現金の残高と離れた結果となるなどの問題があるため、収入の計上基準としては実現主義を採用し、その他の財務諸表を活用し、より正しい財務の説明をする必要があります。
Q5 貸借対照表の作成はなぜ必要なのですか?
複式簿記により収支の期間帰属が正しく行われただけでは、以前から積立てている預金や工事の際の借入金など、その期間に収支が発生しなかった財産について把握することができません。それらを、資産・負債・正味財産として網羅的に表示するものが貸借対照表です。Q6 月次の会計の報告書はなぜ必要なのですか?
正味財産増減報告書等を月次でチェックすることで、管理費等の滞納の発生、長期間にわたる滞納、収支予算案との比較、実際の現金預貯金の不足の有無、等々が確認できます。どんなにこれを省力化するとしても、未収金明細書は毎月チェックし、四半期(三ヶ月)ごとの正味財産増減報告書等のチェックすることをお奨めします。管理組合の会計に関するご相談は → こちら
Q7 具体的には、管理組合の会計はどうあるべきですか?
以下のように考えます。■ 発生主義・複式簿記の採用
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マンション管理組合の主な収入は、他ならぬ区分所有者からの管理費等(管理費と修繕積立金)と駐車場等の使用料です。それらは、一般には前月に当月分を納入すること、また、管理費等の滞納は程度の差こそあれ頻繁に発生することであるため、収支の時期を明確に管理するためにも発生主義・複式簿記が採用されるべきと考えます。
■ 貸借対照表の作成
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区分所有者に、管理組合の財産の状態を正しく理解させるために、資産・負債・正味財産のすべてを網羅的に表示した貸借対照表を作成するべきと考えます。
最も簡易な財務会計を行う管理組合では、収支予算書と会計帳簿のみ、もしくは収支計算書でこれを済ましていることがありますが、その場合の問題点として、大規模修繕での借入や、管理費等滞納などの負債の割合の把握が難しいものとなります。
■ 収支計算書・正味財産増減計算書の作成
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収支計算書は、様式や定期預金の計上などの計算方法の違いはあっても、ほとんどの管理組合で作成していますが、一部には未だ管理費会計と修繕積立金会計を区分して経理していない管理組合も見られます。正味財産増減計算書は、現在収支計算書を作成している管理組合が導入することは容易と考えますが、正味財産の増減を年次ごとに比較することや、貸借対照表の整理に有効であるため、できるだけ採用されたいと考えます。
また、マンション管理組合においては、キャッシュ・フローの状況が把握できない会計上の問題があることから、簡易なキャッシュ・フロー計算書の機能を持った収支計算書(資金収支計算書)の作成も検討されたいところです。
■ 財産目録の作成
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手許現金・普通預金(○○銀行○○支店口座番号××理事長××)、定期預金(同左)、、、などと、管理組合で保有する資産・負債について、貸借対照表と整合性のある目録を作成する必要があります。
■ 付属明細書の作成
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主に、未収入金の明細書を作成する必要があります。さらに、管理費等の滞納の期間に応じ、○ヶ月以内、○ヶ月超1年以内、1年超、などの区分を設けるべきと考えます。
■ 会計処理基準(細則)の設定
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上記の管理組合会計に関する基準を定め、会計処理方法を具体的にマニュアル化した管理組合会計処理細則を設定する必要があると考えます。
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